ヨットの走らせ方


レッゴーセーリング
 カップレーサーの組立て完了、準備はすべてOK!さあ、外へ出て帆走させてみよう。カップレーサーは本物のヨットと同じように帆走する。だから帆走原理もテクニックも本物と同じ。

 


各部の名称とラジコンのコントロール

 

 

セーリングの原理
 どうしてヨットは、風上に何って進めるのだろうか?それは、飛行機や鳥が空を飛ぶのと全く同じ原理に基づいている。
 セールは風をはらむと、その形状は飛行機の翼と同じようになる。風がこのセールにあたると、ふくらんだ側では、その反対側より風のスピードが速くなり、従って、気圧が低くなる。この両側での気圧の差により、右図に示すように、Aの方向に力が動く。この力Aは、BとCの2つの方向に分解されるが、船底のキールが、Cの方向に船を動かそうとする力を阻止するので、船はBの方向に前進することになる。

 

 

セールの角度

 セールは、原則とて、ヨットが風を受ける方向と、ヨットの進行方向とが作る二等分線上にセットする。

 

 

帆走の状態と名称
 

右図は、風向きとヨットの帆走状態を示している。

 ヨットがスターボード(右舷)から風を受け、メインセールを左舷に出している時、この状態をスターボードタックという。逆に、ポート(左舷)から風

を受け、メインセールを右舷に出している時、この状態をポートタックという。

 

風上に向ってヨットが前進できる角度には限度があり、通常この角度は45°と言われている。

従って、図のグレイの範囲では、風上に向ってまっすぐ進むことができない。

 


走らせ方の基本
クローズホールド

 クローズホールドでは、セールをいっばいに引いた状態(セールコントロールレバーをいっばいに引いた状態)でラダーだけで操作する。

弱いウエザーヘルムが出るようにチューニングしてあれば、ラダーコントロールレバーを中立にしておくと、ヨットはほぼ直進する。

セールのラフに注意していると、やがてラフがシバーする。このときシバーが消えるようにラダーコントロールレバーをすこし動かし(大きく動かすと蛇行する)コースを保つようにする。

クローズホールドはこの操作の繰り返しである。タッキングもラダーだけで行ない、セールはいっばいに引いた状態のままである。

 

 

ウインドアビーム

 ラダーコントロールレバーとセールコントロールレバーを使う。

セールがシバーするとセールを引き込み、シバーしないとシバーするまで出し、シバーするとすぐ引き込む、という操作の繰り返しである。なれるとシバーする直前がわかるようになる。

アビームではウェザーヘルムが強くなるが、これをラダー操作でおぎない、コースを保つ。

 

 

ランニングとクオーターリー

 

 

 ランニングはセールをいっばいに出して走る。クオーターリーではこれよりも引き込む。RCヨットでは、ランニングとクオーターリーの見分けがつきにくいのでヨットの動きに注意する。 

 ランニングでセールがクオーターリーの角度になっていると、ヨットが蛇行しやすくなり、風の強いときには、ブローチング(急に風上に切り上がり操船不能になる)しやすい。反対に、クオーターリーでセールがランニングになっていると、セールがシバーしやすい。

 ランニング、クオーターリーでは、メインセールの方が風を多く受けるのでウェザーヘルムがでる。これをラダー操作でおぎない、早めにコースにもどす。ラダー操作が遅れると、蛇行やブローチングがおこりやすいランニングでジブとメインセールが同じ側の舷に出ていると、強いウェザーヘルムが出る。このときジブを反対舷に出すと(観音開きという)受ける風のバランスがとれ、ウェザーヘルムが弱まる。

 観音開きにするには、まっすぐ後ろから風を受けて、メインセールでジブの風をうばう。そうするとメインセールの裏を流れる風でジブが反対舷に開く。

 

 

タッキング
 風上に向かってセーリングするには、スターボードタックからポートタックに、ポートタックからスターボードタックに方向転換しなければならない。このとき、ある時点で、メインセールが一方の舷から他方の舷へ移るがこれをタッキングという。

 タッキングは、十分にスピードをつけすばやく行う。スピードがなかったり、動作が遅いと風上に立ったまま、なかなかタッキングできないこともある。

 タッキングでのラダー操作は、すばやく、小さくラダーコントロールレバーを使うことが基本でめる。ヨットが風上の目標に向かって走るとき、クローズホールドで何回かのタッキングを繰り返さなければならない。

 

 

ジャイピング
 ヨットが風下に向かって進んでいくときに、メインセールが一方の舷から他方の舷に移って方向転換することをジャイビングという。

 ジャイビングではヨットにスピードがあるのですこしのラダー操作でも蛇行することがある。セールはいっばいに出し、小さくラダーコントロールレバーを使う。

 中風までの風ならセールを引き込んでジャイビングするが、強風では、ブローチングのおそれがあるのでセールはいっばいに出す。

 

 


 

スタート前の準備、点検
  • セーリング中に水が入らないように、コクピットカバーの回りをテープ等でカバーをしておく。
  • 送信機のアンテナをいっぱいに伸ばす。
  • 送受信機の電池残量の確認をする。
  • ヨット全体の最終点検をする。

 

 

スタート
さあ、ヨットをスタートさせよう。
  1. ラダーをまっすぐにし、セールを最大限に緩める。
  2. ヨットの真横から風を受けるように、水に浮かべる。(a)
  3. このままでは前に進まないが、両方のセールを少し引き込むと、セールが風をはらんでヨットは前に進む。セールをあまり強く引き込むと、ヨットが極端にヒールする(傾く)ので、セールが風をはらむようになるまで、少しずつ引き込んでいく。(b)
  4. ラダーコントロールレバーを左に倒すと、ヨットは左(図では風上)に向かう。 この時セールを引き込んで風を受けるようにする。(c) ラダーコントロールレバーを右に倒すと、ヨットは右(図では風下)に向かう。この時セールを緩めて風を受けるようにする。(d)

 

 

 

練習
図のようなコースを練習し、ついでに言葉も覚えよう。
文頭の番号は図の中のものと一致している。
  1. スターボード(右舷)側に風を受けるようにヨットを水に浮かべる。
  2. ラダーをスターボード側に切って、ラフイングアップし、セールをいっばいに引き込んで 風を受けるようにする。
  3. セールのラフがシバーするまで切り上がり、クローズホールドに入る。
  4. ラダ←をスターボード側に切ってタッキングを行い、ポートタックに人る。
  5. ポートタックのクローズホールドを走る。第1マークまでタッキングを繰り返す。
  6. 第1マーク回航後ラダーをポート側に切ってセールを出し、ウインドアビームに人る。セーールのシバーに注意し、ラダーとセールをコントロールする。
  7. ラダーをポート側に切って、ベアリングアウェイし、クォーターリーに人る。
  8. クォーターリー。セール角度に注意する。
  9. ラダーをポート側に切り、セールをいっばいに開いて、まっすく風下に向かって走らせる。これがランニングである。観音開きの練習をしよう。
  10. さらにラダーをポート側に切り、セールを引き込んでいくと、ヨットは左にまわりながらある時点でメインセールが反対の舷に移る。この瞬間にセールをいっぱいに開きラダ-にカウンターを打つ。これがジャイビングである。
  11. クォーターリーを経て、ウインドアビームに戻る。ラダーのコントロールを忘れないように。
セールとラダーの調整がスムーズにできるようになったら、今度は時計回りでこのコースを走ってみよう。

※途中でセールの操作がわからなくなったときは、セールを開きぎみにして、とりあえずラダーだけで操作するとよい。

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2点レース

 セールとラダーの基本的なテクニックを覚えたら、次のような簡単なコースで、早速レースをやってみよう。

 風のあまり強くないプールか、波の静かな池などにブイをうかべてマークにする。

 


 

レース
カップレーサーは、同時に2艇から12艇までレースすることができる。(ナローバンド使用の場合)


A.コースのとり方

図のように、3点コースでは、三角形の各項点に、2点コースでは、風上側・風下側の2点にブイ(マーク)を浮かべコースとする。オレンジの位置にブイを浮かべスタート及びフィニッシュラインを設ける。
ここにあげたコース例は、一般的によく使われているものだがコースを設定する場所の条件、風の強さによって、形や大きさを調整する。

※スタート時における風向きにより、時計回りコースにするか、反時計回りコースにするか決める。

 

B.レースとルーノレ

1.2艇の関係


  1. ポートタックのヨットは、スターボードタックのヨットの進路を妨害してはならない。
  2. 2艇が同一タックで並んで帆走している場合、風の吹いて来る方に近い方を風上艇、そうでない方をを風下艇と言う。 風上艇は、風下艇の進路を妨害してはならない。
  3. 2艇間で権利の無い方の艇は、タッキングやジャイビングによって優先艇の進路を妨害してはならない。

 ※ただし、

  1. マークの回航時においては、マーク回航のルールが優先する。
  2. ここに掲げたルールは、ごく基本的なものだけなので、実際にレースをする時は、細かいルールを競投者の間で確認すること。

 

2.スタート(風上に向ってスタートする)

 スタートの1分前より秒読みを始める。スタート前にヨットの一部がスタートラインを越えた場合は、他のヨットを妨害しないように、もう一度スタートラインにもどってスタートする。

3.フィニッシュ

 ヨットの一部がフィニッシュラインを越えた時点をもって、フィニッシュ(ゴール)とする。その後、フィニッシュラインをヨットが通過しなければならない。

4.マーク回航

  1. マークは、コースと同一方向のまわり方でマークの外側をまわらなければならない。
  2. マークに接触した場合は、コースと同一方向のまわり方でもう一度マークを回らなければならない。このとき、他のヨットの進路を妨害してはならない。
  3. マーク回航の方向をまちがえた場合は、正しくまわりなおさなければならない。
  4. マークを回航するとき、外側のヨットは、内側のヨットがマークをまわるだけの十分なルーム(間隔)をあけなければならない。

 

レースの見どころ
A.スタート
  1. スタート前、2艇はレースルールを最大限に活用してポジション争いにしのぎを削る。うまく相手艇の船尾に近いポジションを取ると、相手艇をコントロールできる。
  2. BがAの船尾に近いコントロールポジションを獲得。Aがタックしようとラフイング アップすれば、Bは内側に割り込んでAを阻止することができる。そこでこAはスタートラインの外側に追い出されることになる。
  3. Aがジャイビングしようとすれば、BはAの内側を同じ方向に進み、BはAとスタートラインの間にとどまることができる。Bはスタートラインに進むまでの間、Aをスタートラインから遠ざけておくことができる。ヨットレースでは、相手艇とスタートライン、フィニッシュラインの間に自艇をおくのが鉄則である。

 

 

B.フランケット

相手艇の風上にポジションを取り、相手艇の風を奪う。これをブランケットという。
風上艇は風下艇をブランケットする。風下艇はこれを逃れようとやっきになる。

  1. クローズホールドでのブランケットコーン

     風下艇Bはこの位置から風上艇Aを攻撃する手段はまったくない。この位置にいるかぎり、悪い風と波で遅れるばかりである。一刻も早くタッキングして風上艇のブランケットコーンから逃れるしかない。
  2. フリーでのブランケットコーン

     フリーのコース(追い風のコース)になると、後続艇(風上艇B)にも攻撃のチャンスが生まれる。風下艇が逃げるのをどこまでもブランケットすることによって先行艇に追いつける可能性がある。

 

 

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